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コマーシャルモーター 2007年3月号

スタック脱出はレバーだけの簡単操作

坂道は上りもあれば下りもあります。下り坂で問題になるのが制動性ですが、この点に関してAT車とMT車の違いは。

金村 マニュアルは停止寸前まで排気ブレーキが利いています。それに対してAT車は低速域に速度が落ちるまでは排気ブレーキが利いているのですが、時速20キロ以下になると、 ロックアップが解除されると同時に、排気プレーキが抜けます。オートマチックトランスミッションの構造上やむを得ないのでしょうが、これまでMT車では経験しなかったことですから、排気ブレーキの抜けを最初に経験したときはちょっとびっくりしました。

それで危険を感じたことは。

金村 それはないですね。そういう特性に慣れれば、気になるということはありません。

久保 停止直前のロックアップ解除による排気ブレーキの抜けを普段気にして走っているわけではありません。こうした車の挙動特性で注意が必要なのは路面がアイスバーンにな っているときですが、アイスバーンの上はミッションの種類に関係なく神経を遣うところですし、十分に減速すれば問題ありません。

積雪路の走りに関してもうひとつ、積雪路では常にスタックというリスクを伴いますが、AT車のスタック脱出時の操作性は。

久保 これは楽ですね。スタック時は車を前後に揺らして反動をつけて脱出するわけですが、MT車の場合、前進と後退を繰り返すたびにクラッチ操作が必要ですし、半クラッチ 操作も求められます。それに対してAT車は操作レバーを前後に動かすだけですから、脱出時の操作が非常に楽です。AT車だからということで困ったことも特にありません。

スタック脱出で気をつけていることがありますか。あったらぜひ教えてください。

久保 これはどなたも考えることですが、まず、タイヤを絶対にスリップさせないことが 大切です。車を前後に揺らしてある程度勢いがついたところで一気に抜け出す。AT車の場合、前進と後退のレバー操作が素早くできますから、スタック脱出にはいいですね。

作業効率の向上もAT車のメリット

走行性能以外の事柄を含めても結構ですが、AT車とMT車の違いを感じたことは。

金村 それはPTOの関係ですね。塵芥収集車の積み込み装置の動力源はエンジン駆動力をPTOで取り出しているわけですが、MT車の場合、積み込み作業を行うたびにPTOスイッチのオン・オフが必要です。スイッチを切るのを忘れて走り出すと、ギアを噛んだみたいになってシフトチェンジができず、慌ててPTOスイッチを切るということがたまにあります。その点、AT車はスイッチをオンしたままでもシフトレバーをDレンジに入れれば白動的に切れますし、シフトレバーをニュートラルやパーキングに入れると、自動的にPTOスイッチが入りますから、面倒なオン・オフ操作の必要がなく、ごみを収集して回る作業効率向上という点でも有利です。

確かに収集して回る作業を考えると、スイッチングの操作が不要になったことだけでも、オペレーションの負担は減りますね。

金村 そうですね。1回の運行で20から30カ所は収集して回りますから、積み込みを行うたびにPTOスイッチのオン・オフを行うのは面倒ですし、作業の一環として慣れているものの意外と負担になっています。AT車の導入はこのスイッチ操作の煩わしさをなくしただけでも、メリットはあったと考えています。ちなみに、AT仕様の塵芥収集車はバックモニタやミラーヒータを装備していますが、特にミラーヒータはいいですね。雪が付着してドアミラーが見え難いときがありますから、安全という点でも有効だと思います。

最後に、塵芥収集車はどういう方向に進んでいくのか、ご意見をお聞かせください。

金村 シャシベースの話に限っていえば、塵芥収集車は今後AT車ベースが主流になっていくだろうと思います。乗用車の世界はAT車になっていますし、白分の車もAT車ですからね。AT車が選択されていくのは自然な流れだと思います。また、安全対策として運転の疲労軽減でAT車のメリットがあり、さらにその都度のPTOスイッチングが不要で作業効率を高めるという点でも、AT車は有利ですから、今後は徐々にAT仕様の塵芥収集車が増えていくのではないかこ思います。

お忙しいところ、インタビューに時間を割いていただきありがとうございました。

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