
写真では分かりにくいがつるつるした路面で勾配のある状態で発進トライ。滑りながらもスムーズに発進(右の写真)。アクセルを踏み過ぎず、タイヤのスピンを最少限に抑えるのが発進のコツである
AT特性を生かしスムーズに発進
積雪路走行で重要なのは発進性。そして最も注意しなければならないのは減速操作であり、急減速はスリップを招いて危険である。
まず、平坦な圧雪路を走ってみた。ゆっくりとアクセルを踏み込むと、タイヤの滑る気配を見せず、滑らかにスタートする。路面が多少異なる路面でも発進性はそれほど変わらない。今度はアクセルを強く踏み込んでスタートすると、タイヤがスピン、路面の低いほうヘリアが流れる感じを受けたところで、アクセルを戻すとグリップを回復、ゆるゆると前進を始める。また、7〜8%勾配程度の上り坂の後退発進でタイヤをスピンさせないようにアクセルをゆっくり踏み込むと、タイヤにトルクが加わる感触とともに、後ろ上が
りに後退を始める。これらはスタック脱出の試乗で経験した動きとすべて同じである。
ちなみに、坂道発進ではブレーキを離した途端、反対方向に動き出す。特にMT車の場合、クラッチ操作が遅れると反対方向への移動量が大きくなり、不安を感じるものだが、この点、AT車はブレーキを左足で踏み込んだ停止状態を維持、アクセルを踏み込みながらブレーキを徐々に離せば、不安な車両挙動を抑えて発進できて不安はない。これはAT車に乗る者であれば、誰でも行っていることであり、AT車がもつ利点のひとつである。
コーナー進入は十分に減速、急のつく運転操作は絶対避ける。車両の不安定を招いて危険であり、最悪はスリップして思わぬ事故につながる。積雪地域のプロドライバーは普通に走っているようでその辺は忠実である
<下り坂の走りと制動はセオリー遵守鉄則>
一方、AT車はその機構上停止速度ぎりぎりまで排気ブレーキを利かせることができない。20q/h以下になると、ロックアップが解除され排気ブレーキが抜ける。制動の挙動
が間われる雪道の走りではちょっと気になるところだが、平坦路では排気ブレーキの抜けはほとんど気にならない。短時間で止まろうとすれば、抜ける感じを覚えるが、徐々に減
速していけばロックアップが利いている状態と解除後の排気ブレーキが抜けた後の差に違和感はない。注意を要するのは慣性が大きく働く下り坂で不用意な急制動は禁物である。
7〜8%程度の下り勾配、圧雪路という条件で約40km/hから排気ブレーキを利かせて強目のブレーキを踏んでみたところ、ロックアップ解除直後、排気ブレーキが抜けて押し出される感じを受ける。車両総重量8t車、ハーフロードでも7tという車で慣性が大きく働いている状況に加えて、終減速比5.142で効き具合が大きい排気ブレーキが抜けるわけだから、当然といえば当然である。それを抑えるには中速から低速、停止までを急激に行わず、ロックアップが解除される20km/hを通過するときの減速Gを抑えることが重要である。簡単にいえば、氷雪&積雪路は速度を出さない、特に下り坂は速度を抑制、急のつく操作は行わないという雪道走行のセオリーを守るということに尽きる。
今回の試乗は短時間であり、リアが振り出されたときの回復操作に対するAT車の挙動を体験したわけではない。ATとMTの違いを論じるのは無理があるが、感覚的にいえば、ATとMTはそれほど差があるとは思えない。走破性はATとMTは同等、評価選択はどちらかといえば、好みの問題である。(菊地)
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