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コマーシャルモーター 2007年10月号

Allison Transmission CROSS REVIEW

 乗用車のA/Tはありふれているが、トラックやバスのA/Tはなかなか乗る機会がない。まして自分で運転することなど、非常に少ないのが現状である。そんな中、商用車用A/Tの拡販に力を入れるアリソンジャパンが、A/Tのトラック・バスを一同に集めた試乗会を開催した。現j表ではどうしても接する機会の少ないA/Tの商用車に一度乗れるとあって、大変ありがたいことだ。

今回、本誌編集者2名(三浦・永井)がこの試乗会でアリソンA/Tのトラック・バスを運転することができたので、それぞれに印象を記した。運転の経験も癖も異なる2人が同じA/T車に乗ってどう感じたか、じっくり読み比べていただきたい。

それは"普通に使えるA/T車"

 まずはトラック・バスのトルコンA/T社に乗るのはこの試乗会が初、という記者の、A/Tに対する個人的な印象について述べておきたい。 私有の乗用車はM/T車だが、A/T車に乗る機会は珍しくはなく、A/Tに不慣れなわけでもない。軽自動車から高級セダン、ワンボックス車、SUV、3段から電子制御5段まで体験した。個人的には、排気量1.5ℓ 以下のA/T車と、クリーピングが強い車には魅力を感じないが、余剰トルクの大きい車を流すのには直していると考えている。

  試乗車は大型4メーカー車がすべて揃い、さらに特装車として塵芥車も用意されていた。搭載A/Tユニットは中型トラックが5段Pレンジ付「1000シリーズ」、大型路線バスが「トルクマティック」。結論からいえば、それらの走りから受けた印象は、意外にも、また当然にも、"どれも普通のクルマだった"である。特に1000シリーズは、ストレート式のセレクターパターンも、A・Bの2ペダル操作も、A/T乗用車の作法と変わらない。M/TにもA/Tにも慣れた身からすれば、その部分の操作が違うだけで、動かしているクルマ自体はM/Tとなんら変わらない。考えてみれば当然だが、「動きが重そう」「思い通りに走らなさそう」というネガティブな先入観は、いとも簡単に覆されてしまった。

  バス用トルクマチックのPレンジなしプッシュボタン式セレクターは、さすがに馴染みのない操作系だが、こちらも走りは自然だ。変速操作にコツの要るリヤエンジンバスを、簡単に転がせてしまえる意味では、イージードライブを最も実感させたかもしれない。ボタン式セレクターも、バスは運行中にRレンジを多用しないので、実は不都合はないのである。

適当な"ノロさ"

中型3車の1000型ユニット自体は共通だが、各社シャシに合わせてチューニングが施されており、シフトセレクターの操作ロジックも多少異なる。乗用車でもセレクター操作ロジックがメーカーによって異なるが、違っても世の中では問題なく許容されているので、この点を特に指摘する必要はないと思う。今回の試乗では、シャシによる違いを感じるまでには至らなかった。クリーピングの設定は、シャシメーカーの領分だが、いずれも平地でのクリーピングは決して弱くはないが、過度に強くもなく、概ね適当な"ノロさ加減"である。A/T乗用車を知る人には、特に違和感なく受け入れられるだろう。次に微速での取り回し。試乗コースのクランク路のカドを、律儀に一つ一つなぞってみた。これも当然の話だが、A/T車はクリープの行き足をフットブレーキで抑えながら走り、M/T車は半クラッチで歩を刻 むことになる。運転方法がまるで異 なるので、単純にどちらが楽だとは 言えないが、M/T車の運転をあま り好まない人にとっては、上物の大 きなトラックの取り回しに重要な、 車両感覚への注意をより振り向けら れるとは思う。

"A/T車として"自然な走り

  通常の走行もまた、素っ気ないほ ど普通だ。アクセルを軽く踏み込め ば、スピードの上昇と共にトントン とギヤアップしていく当たり前の動 作。その際のシフトショックも小さ い。2速以上では、ギヤアップして すぐロックアップするとのことだ が、確かにアクセル操作に対してダイレクトにタイヤが蹴り返す感覚を 味わうことができた。パーシャルス ロットルから踏み込んでも、回転数 だけ上がって速度が追いついてこな い感覚はなく、リニアに速度が上昇する。決して持別なことではないが,、今時のトルコンA/T乗用車に匹敵 する運転フィーリングを、GVW8 t以上の車でも得られるわけである。

  一方、A/T車にはフットブレー キを多用するイメージがあるが、トラックM/T車と同様に排気ブレー キもしくはエンジンリターダが使えるので、これらを適切に用いれば、 ブレーキパッドの消耗も思ったほど ではないかもしれない。 ところで、記者がA/T固有のメ リットと思われたのは後退時であ る。後退→停車を前提とした操作、 例えばゴミ処理施設のピット付けと いった場面で、ブレーキペダルに足 を載せて後進速度を調節できるのは、操作として理に叶っており、精神的にも楽に感じるのではと思う。

常識的に扱える美点

今回乗ったアリソンA/T車に、 総じていえるのは、よい意味で気負うことなく一普通の車"として扱え る、という点に尽きる。 円常の足としてA/T乗用車を利 用するトラックドライバーは少なくないと思うが、彼らを含めて大多数 のドライバーが、今時のA/T乗用車が確立した"A/T車の白然なフ ィーリング"を知っている。その普段乗り慣れたA/T乗用車的な走り を想像して、A/Tのトラックもし くはバスに乗り込んだとしても、ア リソンA/T車はその想像を大きく 外れることはないだろう。もちろん、人間がシフト操作ユニットとなるM/T車と比べれば、トルコンA/T車 はそれとは異なる" A/T車なりの作法"を要求する。また、補助ブレー キなどディーゼル商用車独特の操作 も不可欠だ。なので記者は"乗用車感覚のイージードライブ"という表現は適切だと思わないが、しかし、A/T車としてごくごく常識的なフ ィーリングを実現しているのは確かで、実用車として不満なく用いるこ とができるだろう。(三浦)

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