■TEST&TECHNIC
本当にトルコン式ATの燃費は悪いのか?
今、改めてトルコン式ATの燃費について実証する物流の多角化に加え、経済状況は一向に改善の兆しがないままだ。トラックには耐久性、安全性、快適性に加え、より一層の経済性の向上が急務となっている。また、地球環境に及ぼす大気汚染の低減、温暖化防止などさまざまな問題を抱えている。一方、車両の燃費向上は白動車業界において最も緊急を要する課題だ。こうした情勢を反映してか、日本国内を始め、世界各国で燃費規制立法化の波は確実に影響を与え始めている。さて本題のATだが、乗用車の白動変速機(AT)の装着率は、国内や米国では既に85%を超えており、また、欧州やアジア諸国などでも今後普及していくと考えられる。現在では、より低燃費を実現する無段変速機やハイブリッドシステムなども市販化され急速な伸長を遂げている。
しかし、自動変速機の大多数はトルクコンバータ付き有段変速機であり、この機構の偏重は今後もしばらくの間続くものと思われる。したがって車両の燃費向上への取り組みは車両の軽量化やエンジンの改良などと共に、自動変速機の効率向上が不可欠となる。
一方、わが国のトラック・バスにおける普及はまだ少数に止まっている。その最大の要因はマニュアルトランスミッション(MT)に比べて“燃費が悪くコスト的にも高い”という固定観念が払拭されず、トルコン式ATのもつメリットを充分に理解されないままにあることが最大の理由となっているようだ。
今回はトルコン式ATに試乗して、その実力値をリポートする。

新たな快適輸送を担う「ファイター」に2速ロックアップ付電子制御5速AT搭載
今回の試乗車には、三菱ふそう小型トラック「ファイター」の主軸となるGVW8トンクラスの標準キャブ+4気筒(6M60(Tl))240馬力のターボエン ジン搭載カーゴ車。ホイールベース4,870mmで荷台内法は6,200mmという最も需用の高いJ尺のバン架装(バンの荷台内法6,275mm)だ。メーカー型式はPA-FK61Fとなる。ロアヘッドライト外観にベーシックな内装を組み合せたDXグレード。ミッションは アリソン製の2速ロックァップ付電子制御5速オートマチックトランスミッション(AT)S1000シリーズが搭載される。インパネはシンプルな構成で、メータークラスター内にはカラー液晶の多重表示モニターが備わる。この影響もあってか速度計、回転計がやや小ぶりだ。クラッチペダルはないのでそのままシフトセレクターを「D」に入れると多重モニター部に「D」と表示され、1速にインゲージされたことが分かる。そのままそっとアクセルを踏み込むと、作動していた返道発進補助装置「EZGO」によるブレーキがリリースされるごく軽いショックを受けスムーズに動き出した(試乗車は定積の3,550g)、7,545ccの小排気量ターボエンジンの発進性は自然給気からの切り替えが進む昨今、よく話題になる部分だが、いわゆる最初のひと転がりに対するトルク感は実際の車両の動きもさることながら、トルクコンパーターに係合して負荷をかける際にエンジンの回転変動やトルクの出力から感じる部分も大きいように思える。
試乗車は、トルコン式ATのため当然2ペダル式であるため、アクセルペダルを緩めるだけでクリーピング現象により発進するため、発進時に痛幣を感じることは全くない。もちろん、コモンレール式燃料噴射装置による低回転域からの高圧噴射が低速トルクを強めるなど、エンジン側の改良を 図り、エンジン特性に合った減速比(アリソンAT1000シリーズの1速は3.102、ファイナルが4.444)で奏効しているのも明らかで、アクセルを踏まずにアイドリング回転で惰行し(これには自動的に噴射量が増量制御される)、そのままアクセルを踏み込んでも常に期待通りの加速感が得られる印象だ。
走行中、シフトセレクターを「D」レンジに入れておけば全て自動変速されるのは従来どおりだが、減速していくと停止直前に発進段である、1速までこまめにシフトダウンを繰り返し、毎加速に対する応答性を高めている。6M60(T1)エンジンは高過給によって発生する70kg-m/1400rpmと余裕ある最大トルクは4気筒ターボインタークーラによって出力され、トルコン式ATのコンピュータ学習制御もあいまって活発な走りを見せる。
ちなみに、試乗車に装着されたタイヤは前/後共Yokohama Super Steel RY138 225/80R 17.5/122L、ステアリング応答性と車体の動きはスムーズで、乗り心地は上下振動を抑えながらもソフトな仕上がりになっている。また、トルコン式ATによるイージードライブと共に快適性を追求した1台となっている。








